ブレイキン全国大会でトップを目指すひたむきな青年が、挫折しながらも夢に向かって突き進む純度100%の青春感動物語『熱烈』。主演は2019年放送のドラマ「陳情令」で大ブレイクしたワン・イーボー(王一博)。トニー・レオンとW主演の『無名』(5月3日公開)、6月28日公開の『ボーン・トゥ・フライ』、そして9月6日公開の『熱烈』と主演3作品が連続公開される2024年はまさに“ワン・イーボー・イヤー”、そのラストを飾る作品が『熱烈』である。
パリ五輪で日本人選手が金メダルを獲得した話題の「ブレイキン」。ワン・イーボーの圧巻パフォーマンスもさることながら、今回は脇を支える俳優陣について、KPOP切り口で紹介したい。
古参KPOPファンも感涙。子持ちダンサー役、元MissA ワン・フェイフェイもさすがのダンススキル
左: ワン・フェイフェイ(元MissA)
ブレイキンダンスチーム<感嘆符>の紅一点、リーダーのチリ役を演じたワン・フェイフェイは、2010年7月に韓国デビューしたガールズグループ「MissA」のフェイである。
JYPエンターテインメントよりWonder Girls以来3年ぶりのガールズグループとして、シングルアルバム『Bad but Good』でデビュー。韓国人2人と中国人2人で構成されていたグループだった。
デビュー曲『Bad Girl Good Girl』 が大ヒット。以降『Good Bye Baby』『Touch』『Hush』『Only You』などのヒット曲を出した。フェイは現在女優として大活躍するスジと人気を二分したが、グループは2017年に正式に解散した。
解散後は中国の芸能事務所と契約し芸能活動を継続。中国のサバイバルオーディション番組での上位進出やダンス番組では優勝も果たしており、本作でもそのスキルをいかんなく発揮する。現在はCMモデルなどのほか女優としても活躍。中国ドラマなどにも多数出演。
本作「熱烈」では子持ちのお母さんダンサーを演じている。現在37歳のフェイだがその美貌は衰えることがない。年齢的には違和感のない配役にKPOP第2世代の活躍を見守ってきたファンには感慨深いものがあるだろう。
miss A “Bad Girl, Good Girl” M/V
必見のダンスバトル。元CROSS GENEキャスパーの強面とキラキラの美青年ワン・イーボーの熱い対決!
右:キャスパー(元CROSS GENE)
ワン・イーボー演じる主人公チェン・シュオの敵役・ケビンを演じるのは、元CROSS GINEのメンバーだったキャスパーである。
CROSS GINEは2012年6月に韓国でデビューしたボーイズグループである。いまでは珍しくないが、日本人、韓国人、中国人の多国籍で構成されたグローバルグループとして注目された。
デビュータイトル曲「La-Di Da-Di」では、日本人ダンサーKENTO MORIが振り付けを担当したほか、日本人メンバーTAKUYAの存在もあり日本でも話題に。翌年2013年3月にはNTVのドラマ「シェアハウスの恋人」の挿入歌「Shooting Star」で日本デビューを果たした。
「La-Di Da-Di」のMVは今見てもかっこいい。振り付けの所々にブレイクダンスが散りばめられている。
グループはその後、韓国、日本だけではなく、台湾、シンガポール、香港、ブラジルなどにも活動の場を広げていくが、キャスパー自身は「目指す方向性や考え方の違い」から2017年にグループを卒業した。
卒業後は中国版プデュとも呼ばれたオーディション番組「青春有你第一」や音楽バラエティ「This Is Singing」に出演するなど活動の場を中国に移しているが、CROSS GENE在籍時から台湾映画「青春的?(原題)」へ主演として出演するなど俳優業にも意欲的であった。
本作ではチーム<感嘆符>のエースであったが、更なる成功を求めてチームを離脱し新チーム(SUPER K)を結成するケビン役を演ずる。
CROSS GENE在籍時からそのムキムキマッチョぶりは有名だったが、本作では金髪短髪のその容姿と相まってよりカリスマを増している。キラキラ美青年のワン・イーボーとの対比が面白い。
CROSS GENE ‘La-Di Da-Di’ M/V Full Ver.
ワン・イーボーのキャリアの出発点。歌手デビューから一日2億回再生を達成する俳優としてのブレイクまで。
最後にご紹介するのが主演のワン・イーボーだ。
今年はトニー・レオンとW主演の『無名』、『ボーン・トゥ・フライ』、そして本作『熱烈』と主演3作品が連続公開される俳優・ワン・イーボーだが、彼のキャリアの出発点もまたボーイズグループ「UNIQ(ユニーク)」であることは、ワン・イーボー ファンならご存じであろう。
UNIQ(ユニーク)は、中国人と韓国人の5人で構成されたグループである。伝説の動物ユニコーン(UNICORN)と様々な個性(UNIQUE)を合わせた、自分達のカラーを見せる唯一無二なチームになるとのメッセージを携えて2014年にデビューを果たす。
ワン・イーボーは「イボ」の名前でメインダンサーとリードラッパーを担当。2015年7月には日本公演「UNIQ SHOWCASE IN JAPAN」も開催するなど活動領域を広げるが、2016年に中国の限韓令(韓流禁止令)により思うような芸能活動が困難になってからはグループとしての活動は休止。公式的に解散は発表されていないが、現在はメンバーのソロ活動が主となっている。
ワン・イーボーも、中国のオーディション番組やバラエティ番組で活躍するが、2019年放送のドラマ『陳情令』で主演の一人を務めたことで大ブレイク。同ドラマは動画再生回数1日2億回、総数100億回を突破する空前の大ヒットを記録したファンタジー時代劇で、これによりワン・イーボー自身もブレイクを果たす。その勢いをかって同年12月にリリースした3枚目のシングル『无感』は中国の音楽プラットフォーム「網易雲音楽」で”最も早く1000万枚の売上を記録した”シングル曲ともなった。
こうして俳優として大ブレイクを果たしたワン・イーボーだが、その後もダンスサバイバル番組への出演やコンスタントにシングルをリリースするなど音楽活動も継続している。
[MV] UNIQ ‘EOEO’ DANCE Ver (KOR)
「陳情令」日本オフィシャルトレーラー・中国語版
いかがだっただろうか? 中国映画にあまり馴染みのないKPOPファンにも見どころ豊富な配役である。あの頃のアイドルたちのより成熟した姿に注目してほしい。さらに他のメンバーも一流のプロダンサーが集結しており、ダンスバトルシーンを見るだけでも楽しい。オリンピック競技としてのブレイキンももちろん見ごたえがあったが、ストリート発祥のワイルドな魅力も本作では存分に感じることができる。
物語は明快だ。いうなれば往年のスポ根にファッショナブルでちょいクールな現代的アレンジが加わる後味さわやかな青春ド直球ストーリー。鑑賞後には連日の蒸し暑さを忘れさせる爽快感を味わえるだろう。オリンピックのあの感動をもう一度味わいたい人にもおすすめ。ちょっとユニークなチーム名<感嘆符>の謎も明かされる。
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<作品情報>
『熱烈』(9月6日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他全国公開)
監督:ダー・ポン
出演:ワン・イーボー、ホアン・ボー、リウ・ミンタオ、シャオ・シェンヤン、ラレイナ・ソン
ワン・フェイフェイ 脚本:スー・ビョウ、ダー・ポン 撮影:ルイ・ジョン
2023/中国/中国語/シネマスコープ1:2.35/124分/原題:熱烈/字幕翻訳:神部明世/配給:彩プロ/映倫G
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