
■5月24日 <DAY1>
人気アーティストのライブと、長岡のグルメ、長岡花火などを満喫できる野外音楽イベント「ながおか 米百俵フェス ~花火と食と音楽と~ 2025(米フェス)」が2025年5月24、25日の両日に、長岡市内で行われた。シンガー・ソングライターのimaseのほか、アジア各国で話題の韓国の女性歌手・GYUBINがバンドスタイルでは初めて日本のフェスに出演。女性ダンス・ボーカルグループ「IS:SUE」のNANOは新潟県出身で、初の凱旋公演を喜んでいた。
米フェスは2018年にスタートし、ことしで7回目。約1年半ぶりの開催で、今回から時期を収穫の秋から、新緑の初夏に変更した。会場はこれまでよりも広い国営越後丘陵公園に移し、公園内で始まった「香りのばらまつり」との共催となった。パワーアップした米フェスを盛り上げようと地元も応援。JR長岡駅構内はもちろん、駅周辺の商店街には全18組のアーティストの写真が掲載された米フェスのポスターや、のぼりが設置され街全体がお祭りムードになっていた。さらに今回から、地元の学生らに呼びかけボランティア「米フェスBOOSTERS」が誕生。一過性のものではなく、未来の長岡を考えていく若手として期待されている。学生らは、来場時のリストバンドの確認や、ゴミの分別、道案内など裏方として、フェスを支えていた。
<ひなた>
「長岡米百俵フェス」と記された大きなフラッグが設置されたステージ。開演時刻の10時半ぴったりに、和テイストのジングルが1年半ぶりに鳴り響いた。全アーティストの登場時に聞こえるこの曲は、2018年と20年に同フェスに出演した長岡市出身の「Creepy Nuts」のDJ松永が提供したもの。楽曲に合わせてオープニングアクトとしてステージに登場したのは、初年度より毎回出演している「ひなた」。中央に置かれたマイクの前に立つと、たかのりが「ここ長岡出身のひなたです。みんな米フェスにおかえり!」と歓迎し、ぴろんは観客と一緒に「ただいま!」とあいさつを交わした。
アップテンポな「月と太陽」が奏でられると、たかのりが「最高の時間を過ごそう!」と会場をのぞき込み、「クラップ、クラップ!」と誘い始めた。少しずつ体を揺らし始めたオーディエンスに向け、ぴろんは歌詞の一部を「♪米フェスで出会えて良かった!」と笑顔で手を振った。
いとこ同士で結成し、ことし10月10日には26年目を迎える。アコースティックギターを外し、マイクを手にしたたかのりは「全員準備運動。両手を手拍子!」とあおると、春は桜の名所になる「悠久山」、「栃尾の油揚げ」などの長岡の良いところを詰め込んだ「越後長岡のうた」で盛り上げていく。ぴろんが「♪生姜醤油ラーメン」と歌うと、たかのりは「うまいよね」と合いの手を入れるなど、息ぴったりのパフォーマンスで長岡の魅力を〝世界に発信〟した。
MCでは、たかのりが結成26周年を迎えた翌日の11日に、記念コンサート「5000通りの一期一笑 part3」を、新潟県民会館 大ホールで行うことも発表。「初挑戦です」と気を引き締めると、「故郷に感謝しながら歌いたいと思います」と、「大人になれない大人たち」で、ぴろんとアカペラで歌のリレーを展開。「♪生まれ変わっても またあなたに会いたい」と活動を振り返る内容で、支えてくれたファン、そしてお互いを称えるようにしっとりと歌い上げていた。

<開会宣言・長岡市の磯田達伸市長>
ひなたのライブが終わると、MCの安東弘樹と、ラジオ局・FM NIIGATAの本間紗理奈アナウンサーが登場。長岡市の磯田達伸市長を呼び込むと磯田市長は「長岡の魅力の花火と食と豪華アーティストによるパフォーマンス。フィナーレは長岡の花火を存分にお楽しみ下さい。市外、県外からたくさんのお客さまがお越しいただいていると思います。いま米不足と言われていますが、きょうは長岡産のお米を山ほど炊いて、おにぎりを作っていますので、長岡のお米を堪能して」と開会を宣言した。
<ME:I>
記念すべき〝シン・米フェス〟の1番手を務めたのは、2023年に誕生したガールズグループ「ME:I」。ピンク色の照明が点灯する中、真っ白な衣装で登場した。メイクをしているようなキュートな〝お化粧ダンス〟がSNSで話題になった「MUSE」の愛らしいダンスが始まると、会場は一気にヒートアップした。パワフルなダンスで圧倒した「Million Stars」後のMCでは、AYANEが「初めて新潟に上陸しました。皆さん、今日は最高の思い出を作っていきましょう!」、SHIZUKUは「私は毎日必ずおにぎりを食べるくらい、お米が大好きです」。MOMONAは「私は今朝、栃尾揚げを食べたので、そのパワーで頑張ります!」。KOKONAは「私が大好きな、緑いっぱいの中で(ライブが)できてうれしい!」とそれぞれあいさつした。MCの後は、テレビアニメ「ポケットモンスター」のエンディングテーマとして子供にも人気の「Ready Go」を披露。華やかなダンスで盛り上がった会場に続いて投下されたのは、「Hi-Five」と「Cookie Party」。両曲とも、フェスならではの力強いバンドアレンジで、会場の揺れを誘った。
中盤には、昨年「NHK紅白歌合戦」に初出場した際、1番手で歌ったデビュー曲「Click」を熱唱。11人のパフォーマンスに合わせYOU:MEから、「♪ララララ」などかけ声が起こっていた。全9曲を、約30分で駆け抜け、セクシー、アグレッシブなど様々な表情を見せた。〝皆から愛されるアイドル、未来に向かって共に進んでいく、未来のアイドル〟という思いをグループ名に込めた11人から今後も目が離せない。

<GYUBIN>
白シャツにブラックのネクタイ、黒地に赤いチェックのミニスカートでアコースティックギターを手にした韓国のシンガー・ソングライター、GYUBINは、韓国でのデビュー曲「Really Like You」でスタート。アジア各国のバイラルチャートを賑わせた透き通る歌声で、会場にさわやかな風を吹かせた。ステージ前の芝生エリアのほか、後方の斜面に座って声援を送る人を見つめると、最初のMCでは日本語で「人、めっちゃ多い」と目を丸くし、「初めまして皆さん。私は韓国の歌手、GYUBINです。日本語はまだ勉強中なので英語も交えながら話しますね。日本での野外ライブは初めてでいま少し、ドキドキしています」と18歳らしい、初々しい感想で会場を和ませた。
日本国内では、昨年8月に京セラドーム大阪で開かれたイベント「KANSAI COLLECTION 2024 AUTUMN&WINTER」で初パフォーマンス。関東では年末の音楽イベント「COUNTDOWN JAPAN 24/25」に韓国のソロアーティストとして初出演するなど、認知が急拡大している。この日は、日本では初めてバンドを従えてステージに立った。
冒頭に歌った「Really Like You」は、ビルボードジャパン「Heatseekers Songs」チャートで1位を記録。「日本でもたくさん愛されていると聞いて、本当にうれしいです。ありがたいです」と頭を下げていた。
アコースティックギターから、エレキギターに持ち替えた「LIKE U 100」を歌う前には、「可愛い!!」の歓声に、「可愛い?キヨ(韓国語で可愛いの意味)??」と日本語と韓国語で聞き返し、ファンと交流する場面もあった。ミントグリーンのマイクをマイクスタンドから外し、披露した新曲「Evergreen」では、米フェスを牽引するキュレーター・本間昭光の鍵盤の音に合わせ堂々としたパフォーマンスを見せた。
終盤には中森明菜のトリビュートアルバム「中森明菜 Tribute Album “明響”」に参加した際に歌唱した「トワイライト -夕暮れ便り-」を披露。しっとりとした歌声で会場を包み込んでいた。歌を通じて中森にリスペクトを送ったGYUBINは「本当に素敵な曲です。中森明菜さんは日本のレジェンド・シンガーですよね。そんな人のトリビュートアルバムに参加できて本当に光栄です」と思いを明かした。1人1人の顔を見つめるように会場を見渡すと「今年私は、日本で正式にデビューする予定です。一生懸命日本語を勉強します」とうれしい報告も。拍手を贈られると「大好きだよ皆さん。また絶対会いましょうね!」と再会を誓っていた。

<みいつけた!オフロでショー>
キッズパークを設けるなど、家族で楽しめる音楽フェスを掲げる米フェス。ことしはNHK Eテレの人気番組「みいつけた!」(月~金曜、午前7時半)と初コラボレーションが実現し、キッズや親子連れを楽しませた。人気キャラクター、オフロスキーと共に、舞台に飛び出してきたのは2019年4月から昨年3月まで〝4代目スイちゃん〟として活躍した女優の増田梨沙ちゃん。歓声の中、「さあ!」で愛らしい歌声を響かせ、会場に笑顔の花が咲いていた。
オフロスキーが「来ちゃったよ、長岡」と奇跡の瞬間を、驚きと喜びで報告すると、続けて番組おなじみの「おいーす!!」であいさつ。梨沙ちゃんがソロコーナー「こんやはダンスパーティー(9じまで)」で視線を集めると、交代で登場したオフロスキーが「ここからはオレの番」と「オフロッケ!」でコミカルなダンスで舞台を動き回り、子供たちを興奮させていた。
サプライズ登場した「おとうさんといっしょ」の人気キャラクター、シュッシュと、梨沙ちゃん、オフロスキーは、観客に向けて〝エアー〟でキャッチボールをし、「楽しいね!!!」と声を弾ませていた。「びゅんびゅんトラベラー」では会場全員でタオルをグルグルと振り回すパフォーマンスで思いを1つに。「♪毎日がおめでとうだよ」と歌う「せかいのどこかでおめでとう!」では、「おめでとう!」と「ありがとう!」の声が広がり、会場にハッピーの輪が広がっていた。ラテンのリズムに乗った「きみとイスまでも」では「♪みんないつもありがとう!」と歌でも感謝。オフロスキーは「最後は笑ってお別れしましょう!」と元気いっぱいに「まいにちアハハをみいつけた!」で「アハハ!」と声を出して笑顔に。

<FUNKY MONKEY BΛBY'S>
「FUNKY MONKEY BΛBY'S」が姿を見せる午後2時前から、ポツポツと雨粒が落ちてきた。始まった「ちっぽけな勇気」では、降り出した雨を跳ね飛ばすように、ジャンプをして2人を出迎えた会場。ファンキー加藤の「手を挙げて」という声に、子供も大人も応えていた。間奏中には「会いたかったぜ、米フェス。テントの皆さん、お元気ですかーー!!」と少し離れたキャンプエリアから声を送るファンにも、1人も置いていかないという思いを示すように声かけ。「全員の拳を!!」と勇ましいファンキー加藤の声に、無数の拳が天に向かって突き立てられた。拳が連なる様子を見たファンキー加藤は「その拳の中には、無限の可能性が秘められていることを忘れないでください」と何度も大きく頷いていた。
初めのMCでファンキー加藤は「米フェスは初出演となります。お招きいただきまして本当にありがとうございます」とお辞儀をすると、「会場自体は『音楽と髭達』で2011年に立ったことがある。帰ってきました長岡!!」と声を張り上げた。「新曲が出来たんです。米フェス初出演なんで、新曲を披露させていただこうと。みんな知らないと思うんで、頭の上で手をあげてくれていたら何とかなるんで」とリリース前の新曲「音楽を鳴らそう」を会場にプレゼント。再生を誓う力強い思いを、モン吉と共にステージを駆け回りながら届け続けた。
短いMCでファンキー加藤は「こうして出会えたのも何かの縁ですからね。少しでもファンモンのライブで元気をもらって、あしたからも元気で…」と口を開いたが、突然「雨!!!!」と厚い雲で覆われた空をにらみつけると、「止んでほしいんですけど!!」と困った顔を見せていた。2026年1月に20周年を迎えることを報告すると、あちこちから拍手が。「次の曲は、FUNKY MONKEY BΛBY'Sの歌ではなくて、出来れば皆さんの歌であってほしい。後ろの丘の皆さんも一緒に歌ってね」と「♪僕は信じてるから 君もあきらめないでいて」と鼓舞するメッセージソング「あとひとつ」で会場とひとつになっていた。 「最後の曲」と始めた「悲しみなんて笑い飛ばせ」では、加藤の「タオルをぶん回して、夏フェスらしい景色を!!」の提案に、ファンモンはもちろん、ME:Iや、MAZZELなどこの日、一堂に介したアーティストのカラフルなタオルが圧巻の景色を生み出していた。
ボルテージが最高潮になったファンと一体に。加藤はステージ前方に準備された階段を降りると、芝生エリアに向かっていく。ファンとハイタッチで気持ちを確かめ合ったほか、ステージと芝生エリアの間に設けられた柵の上に登って声を張り上げ、エネルギーを届け続けていた。

<MAZZEL>
ダンス&ボーカルグループ「MAZZEL」のライブは、大歓声の中、「Parade」でドラマティックに幕を開けた。ステージの下手と上手に分かれ、クロスするように姿を見せると、美しいファルセット、ド迫力のダンスなど1曲の中に、聴きどころ、見どころが満載の楽曲で釘付けに。「米フェス楽しんでいますか」と声かけたRANは雨雲を指差すと「さぁ、こんな天気ですけど、めちゃくちゃ楽しいフェスをやっているって聞いて、来ちゃいました。次の曲は全員で盛り上がれる曲。みんな手のひら見せてくれますか」と誘うと、メロディアスなデビュー曲「Vivid」で、会場をダンスフロアに一変させた。
高い身体表現で、見る人を一瞬で魅了してしまう8人。MCでは「FUNKY MONKEY BΛBY'Sさんと、DA PUMPさんに挟まれて緊張していた」と本音を明かした。しかし緊張を上回る〝気合い〟がファンはもちろん、ファミリーなど初めてMAZZELに触れた人たちの心をわしづかみに。じっとしていられない熱を会場中に広げ、空気をひとつにしていた。「CAME TO DANCE」では手にしたタオルを回し始めると、観客も応戦。会場の各所で、MAZZELの名が刻まれた水色のタオルを回し、鮮やかな花を咲かせていた。8人は序盤からアクセル全開。トリッキーな歌声で耳を刺激した「Waterfall」では、水しぶきなどを繊細に表現し、ダンスとシンクロした世界観で圧倒した。ソロのダンスでは、アクロバティックな動きで、各人が個性を打ち出しMUSE(ファンネーム)との距離を近くしていた。
パーティーロックチューンの「King Kila Game」では、「♪一番正しい奴は 一番楽しい奴だろ」の歌詞を体現するかのように、全力で会場を盛り上げていく。ステージの上手、下手と移動しながら、ひと夏の思い出を歌った「Seaside Story」では、心地良いトラックに乗せ「揺れろ揺れろ」とあおる一幕もあった。
RENのガラスをぶち破るような激しい動きで始まった「J.O.K.E.R.」は息もつかせぬダンスで興奮状態に。「J」「O」「K」「E」「R」と会場からも、大きな声が上がっていた。それぞれがそのスキルを見せつけるように、倒立などのダンスをバトルのように繰り広げていく。圧巻のパフォーマンスで唯一無二の存在感を示していた。

<DA PUMP>
ジングルの後、「Let’s go!」と勇ましくステージに滑り出てきた6人。最後に姿を見せたISSAは「雨ぶっ飛ばして行こうぜ!」と声を掛け「P.A.R.T.Y. ~ユニバース・フェスティバル~」をドロップ。心地良いサウンドに、揺れが大きくなっていった。ダンスと歌でキメた後のMCでは、ISSAが「米が非常に大変な時期ではあります」と口を開くと、YORIが「5キロ2千円台でいってほしい」と応え、この日のライブのテーマは「米問題」と軽快なトークで観客を沸かせていた。アクロバティックなダンスとラップが光る「ごきげんだぜっ! 〜Nothing But Something〜」、「if…」ではISSAのグルービーな歌声が長岡の広い大地に響き渡った。縦に一列に並んで始めた「Feelin' Good -It's PARADISE-」では冒頭の「♪Feelin' Good」の歌声を、観客が頭上クラップで歓迎。6人が生み出す世界に酔いしれていた。ISSAが「〝米〟の時間をやりましょう」と提案し、KIMIが「U.S.A.」のダンスをレクチャー。KIMIは「今日は長岡、スペシャルバージョンで行きましょう!」と含みを持たせると、アメリカの星条旗と同じ、青、白、赤色にステージの照明が変化。披露された大ヒット曲「U.S.A.」では、日本テレビの番組企画で、全国131校の頂点に輝いた「上越高校ダンス部」がサプライズで初出演。「新潟県の魅力を全国にPRすること」を目標に活動する約30人の生徒が、プロのアーティストと「U」「S」「A」と声を上げながら、繰り広げるダンスに、地元・新潟が沸き返っていた。競演後「どうだった?」とマイクを向けられると男子生徒は「めっちゃ楽しかったです」と額の汗をぬぐっていた。


<打首獄門同好会>
リハーサル終了間際、ボーカル・ギターの大澤敦史が「バンド名がバンド名だけに、お子様がいるファミリー向けに媚びを売っておけ」と、突然うまい棒を無料で配布することを宣言。「袋から1本取ったら後ろに回して」と大盤振る舞い。子供たちがうれしそうに、袋に手を突っ込んでいた。真っ赤な照明が点滅する中で、会長の大澤が「日本の米は世界一! 米フェスにおやつの時間がやってきましたよ」と気炎を上げると、驚く会場をよそに「デリシャスティック」を投下。ファンは受け取ったうまい棒を振り回しながら、「♪うまい棒!!」と無限ループで声をあげていた。米フェスのフィナーレには、長岡花火が打ち上げられるが、この日の天気は花火の日にはあまりうれしくはない雨。会長は「花火は出来れば満天の星空で見たかった。なのに、なんで今日は天気が悪いのか」とうらめしそうに語るとデスボイスで「なぜ今日天気が悪い」を披露。子供を持ち上げながら、「♪晴れろ!!!」と叫ぶ父親の姿もあった。会長が「ここで1曲、来週発売の新曲をやってもいいでしょうか」と話し始まったのは、メタル音楽に合わせて「バックドロップ」、「ブレーンバスター」などプロレス技をシャウトする「WAZA」。同曲は新日本プロレスのジュニアヘビー級による年に1度の大きな大会のテーマ曲に起用されたという。この日が初長岡というメンバー。会長は「皆さん先ほどは『U.S.A.!』と叫んでおられましたが、我々は今日『日本の米は世界一』という歌を歌いに来ました。それ以外は全て余興です」ときっぱり。「お米に向かっていく」と目標を定めると、ハラミや手羽先など米に合うメニューが歌詞に並ぶ「ニクタベイコウ!」。肉に対抗し、海の幸などを歌詞にした「島国DNA」を熱唱。観客の頭上にはマグロの形をした風船が、どこからともなく現れ、新鮮さを表現するかのようにピチピチと跳ね回っていた。会長の指示でマグロが回収された後は、本命の「日本の米は世界一」。会長は「秋にはこの日本有数の米どころが豊作でありますように。祈願をして歌う!!」と力を込めてシャウト。米農家をしているという観客もいる中で、異様な盛り上がりを見せていた。

<甲斐バンド>
この日最後のジングルが流れると、レジェンドたちの登場を前に会場の空気が高揚した。そのシルエットが見える前から「甲斐さん!」と待ちわびるファンが名前をコール。バンドメンバーがポジションに着くと、ライトが輝きだした舞台に下手からゆっくりと甲斐よしひろが登場した。スタンドマイクに手を掛けると哀愁漂う「翼あるもの」で会場を温め始めた。
ダイナマイトが爆発したかのようなドラム音で始まった「ダイナマイトが150屯」では、イントロで甲斐が斜めにしたマイクスタンドを右足で高く蹴り上げるパフォーマンス。熱いビートで揺さぶり、オーディエンスを真っ赤に燃え上がらせた。
「最後まで目一杯やるからね。最後まで楽しんでいってほしい。やるよ!」と告げると、「フェアリー(完全犯罪)」、「ビューティフル・エネルギー」と続け、「安奈 -2012-」を歌い始めた。かっこよくキメながらも、歌詞が飛んだのか甲斐が後ろを向くと音がストップ。
「もう1回、ちゃんとやるよ。本当に感じ悪いね。こういう時」と苦い顔を見せたが、再びマイクに向かうと、数分前の出来事がなかったかのように、いぶし銀の歌声で聴衆を魅了。曲の終盤には集まった会場と「安奈」と繰り返した。
MCでは「2年前にこのフェスは出たんで、このバイブスは確実につかんでいるからもう大丈夫だよ。オレも楽しむからみんなも楽しんでほしい。6月の終わりから50周年のツアーが始まるんだけど、新潟も7月12日にりゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)でやるんで」と再会を約束した。大人の色気があふれる「カーテン」では、女性を部屋に誘う情景が浮かぶ吐息交じりの甘い歌声で、会場の心を震わせていた。「最後のナンバーをやるよ。みんなで歌ってほしい。『HERO』をやるよ!」と伝えると松藤英男のドラムがさく裂。50年間磨き上げたロック魂で、「♪HERO!!!」と連呼し、会場を激しく揺さぶっていた。最後はメンバーと横一列になり手を取り合うと、両手を高く上げて感謝のあいさつし、会場を後にした。
本降りの中で打ち上げられた長岡花火。復興と鎮魂の思いを込めた約20分間のショーでは、スターマインなどが立て続けに打ち上げられ夜空を彩った。独創的な花火には大きな歓声が起こっていた。

<グッズ>
推しのアーティスト名が並ぶTシャツなど、オリジナルグッズを購入するのもフェスの楽しみ。開催時期と場所が変わった2025年は、フェスが開催された公園内にある大けやきの木をモチーフに、家族が集う様子を描いたシンボリックなデザインが新たに加わった。
ステージではオフィシャルサポーターを務める女優の浜崎香帆が、新デザインがプラスされたことを説明。同デザインは、長岡土産として人気の洋菓子店「ガトウ専科」が、長岡の夏の風物詩大花火の正三尺玉をかたどった「夏花火パイ」(7枚入り)の外箱や、ライブには欠かせないTシャツ、フェイスタオルなどにも用いられ、浜崎は「ぜひ手に取って!」とPRしていた。

取材・文/翡翠
撮影/田中聖太郎写真事務所
花火撮影/井上スタジオ
【関連リンク】
■ながおか米百俵フェス公式サイト
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2025/05/30 22:21 配信
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